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特別受益と寄与分

特別受益と寄与分
生前の貢献や贈与は相続に算入されます。被相続人が生前に、子どもたちに住宅資金や結婚資金などを贈与している場合があります。また、不動産などを特定の人に与えて、名義もその人のものとなっている場合があります。

贈与税の課税はありますが、故人の財産を気に入った人に分け与えること自体は、何の問題もなく、故人の生前は問題となりません。しかし、いったん相続開始となりますと、様々な扱いを受けることになります。



特別受益

生前に特別に財産をもらうことを「生前贈与」あるいは「特別受益」と呼び、財産をもらった人を「特別受益者」と呼んでいます。
相続における遺産の分割は、この特別受益分を含めて行うことになっています。つまり、生前に特別にもらった財産は、相続分の前渡しとみなされるわけです。
どのようなものが特別受益にあたるかは、次のような基準となっています。

  • ①  婚姻、養子縁組のために受けた贈与・・・平たく言うと、結婚式の費用、結婚や養子縁組の際の持参金です。
  • ②  生計の資本として受けた贈与・・・たとえば、住宅資金や、商売の開業資金などの資金援助、家族の中でひとりだけ特別に大学に進学したり、海外留学を援助してもらったりした場合です。ただし、結婚祝い、新築祝い、開業祝など、社交レベルのものは含まれません。
その他にも、故人が遺言で、特定の人に残した遺産、つまり遺贈も特別受益としての扱いを受けます。



特別受益に時効はない

特別受益には、時間に制約はありません。何十年前の贈与であっても、相続では特別受益として扱われます。時効がないなかで、ではどのように生前贈与されたものは評価されるのでしょうか。これについては、過去の贈与の時の価値ではなく、現金も含めて、すべて相続開始時点、つまり故人が亡くなった時の貨幣価値に評価しなおすことになっています。たとえば、不動産価値が高い時代に2000万円だった土地が、10年後の相続開始時点に価値が下落し、1000万円になったら1000万円で評価することになります。

このように評価する理由は、もらった時期の不公平をなくすためです。なお、その財産が使い込んでなくなっていた場合でも、そのときになお、あるものとして勘定に入れることになっています。



特別受益はどのように扱われるか・・・

その額を持ち戻し、遺産に合算して、これを相続財産とみなして相続割合を決めることになります。(遺産の額+特別受益の額=みなし相続財産)
みなし相続財産を、相続比率で割って、それぞれの相続人の相続取り分を決めます。
ただし、計算で特別受益がそれを受け取った人の法定相続分を上回っていても、これを取り戻すことはできません。
たとえば次のような場合です。
遺産の額:3000万円 相続人 妻と子ども2人
生前に妻に5000万円の生前贈与があった場合

この場合、配偶者の法定相続分は二分の一なので、本来はみなし相続財産8000万円の二分の一の4000万円のはずですね。しかし妻は本来の相続分より1000万円多く受け取ってしまっております。この場合、計算上は1000万円を戻さなくては計算が合いません。しかしこのような特別受益の超えた分は計算しないことになっています。したがって、相続開始時、妻の相続取り分は0になりますが、祖霊樹生の返却は不要で、遺産の3000万円は子ども二人が、1500万円ずつ取得することになります。
もちろん、子どもに特別受益があった場合は、子どもの法定相続分を使って、同じように計算します。



寄与分

特別受益とは反対の計算をするものですが、寄与分とは、被相続人のために、相続人が生前何がしかの財産形成を手助けしたなど、貢献を行った場合をいいます。
たとえば、長男が、実家の商売を手伝い、長男の妻が被相続人を療養介護することによって、財産を維持してきたとします。これを何も手伝いもしなかった次男や長女が、相続時だけ家に戻ってきて、相続割合をたてに遺産を要求するとすればどうでしょう。長男や妻からは不公平だという議論も出るのではないでしょうか。つまり、相続財産の、維持拡大に対する寄与を相続に反映させようというのが、寄与分の考えです。先述した通り、遺産額から寄与分の額を差し引き、残りの額を法定相続の割合で分けることになります。
(遺産の額-寄与分の額=みなし相続財産)

ただ、一般的な夫婦の協力や、親子の扶養、介護だけでは家族の間では当然のことなので認められておりません。寄与分が認められるのは、被相続人の事業に対する労務提供や療養介護などです。しかも、そのことによって、被相続人の財産が維持され、増加したということが明らかでないといけません。いずれにしても、実際の寄与分の判定は難しいので、相続人で話し合い、それでもまとまらなければ家庭裁判所に決めてもらうことになります。








下記のような場合には行政書士をご利用ください。

  • 自分亡き後の財産の処分に思うところがある。
  • 外出などできない状況にある。
  • 相続が発生したが、何から手を付けていいか分からない。
  • 自分でやるのは正直面倒なので、この際専門家に任せたい。
  • 自分でやるつもりでいるが、思うように進まない。
  • 相続人の足並みが揃わないので、公平な第三者に仕切ってもらいたい。


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