家族が亡くなった後のその他の手続き

医療保険の資格喪失の手続き

死亡後は公的医療保険の資格を失います。そのため、故人の保険証を返却しなければなりません。
故人が国民健康保険加入者であれば、「国民健康保険資格喪失届」を、後期高齢者医療制度加入者であれば、「後期高齢者医療資格喪失届」を市区町村役場に提出し、同時に故人の保険証を返却します。
手続きには期限があり、死後14日以内となっております。

〇故人が国民健康保険の加入者の世帯主で家族もその加入者の場合、家族の保険証を返却し、世帯主を変更した新たな保険証を発行してもいらいます。なお、自治体によっては死亡届を提出すれば資格喪失届の提出は不要となる場合があります。

〇故人が健康保険、もしくは共済組合加入者の場合は、事業主が保険者資格喪失届を日本年金機構に提出するケースが多いです。その場合、故人が働いていた会社と連絡を取ったうえで、保険証の取り扱いや、必要書類の有無を確認するとよいでしょう。
また、故人の扶養に入っている家族についても、故人のものと一緒に保険証を返却して、ほかの家族の扶養者として健康保険に加入しなおすか、国民健康保険へ加入しなおすなどの手続きが必要となります。
家族の保険証の変更手続きを怠って保険証を使用した場合、後日、保険者が立て替えた自己負担分以外の医療費を請求されるので、注意が必要です。

〇故人が年金受給者である場合
日本年金機構に、「受給権者死亡届」を提出し、年金給付の停止手続きをします。
提出期限は故人が亡くなってから14日以内です



高額療養費払い戻しの手続き

高額療養費制度とは、入院などによって、1か月間の医療が高額になってしまったときに、一定の金額の払い戻しを受けられる制度をいいます。

この制度を利用すると、1か月あたりの医療費が自己負担限度額を超えたとき、その差額分の還付を受けることができます。


70歳未満の場合

5万7600円
所得区分(年収の目安)自己負担限度額多回数該当
年収1160万円~25万円2600円+(総医療費―84万2000円)×1%14万100円
年収770万~1160万未満25万円2600円+(総医療費―55万8000円)×1%9万3000円
年収370万~770万円未満8万円100円+(総医療費―26万7000円)×1%4万4400円
~年収370万円未満4万4400円
住民税非課税者3万5400円2万4600円

70歳以上の場合

所得区分(年収の目安)自己負担限度額自己負担限度額
外来(個人ごと)外来・入院(世帯)
年収1160万円~(3割負担)25万円2600円+(総医療費―84万2000円)×1%25万円2600円+(総医療費―84万2000円)×1%
年収770万円~1160万円未満(3割負担)16万円7400円+(総医療費―55万8000円)×1%16万円7400円+(総医療費―55万8000円)×1%
年収370万円~770万円未満(3割負担)8万円100円+(総医療費―26万7000円)×1%8万円100円+(総医療費―26万7000円)×1%
年収156万円~370万円未満1万8000円(年上限14万4000円)5万7600円(年間上限なし)
住民税非課税者 住民税非課税世帯8000円2万4600円
住民税非課税者 所得が一定以下の世帯8000円1万5000円


たとえば、70歳未満で年収370万~770万円未満の人が1か月間に医療費を100万円支払った場合、自己負担限度額は約9万円となるので、約91万年が還付されます。
なお、どの年齢でも保険適用外の診療や入院時の差額ベッド代、食事代は自己負担限度額の対象外です。

故人が自己負担額を超える医療費を支払っていたら、診察を受けた月の翌月の初日から2年以内に「高額療養費支給申請書」を提出する必要があります。提出先は故人が国民健康保険加入者であれば、住所地にある市区町村の役所、健康保険加入者であれば、健康保険組合または協会けんぽです。提出後、おおよそ、3か月後に払い戻しを受けられます。
なお、加入している保険によっては、医療費を支払った2~3か月後に「高額療養費の払い戻しのお知らせ」が届くので、通知がきたら故人の医療費を確認して申請します。

また、故人が複数の医療機関で受診していた場合などに申請できる「世帯合算」や過去3回高額療養費の払い戻しを受けた場合、4回目から自己負担額が下がる「多回数該当」も申請するとよいでしょう。


医療費が高額となり、準確定申告をしなければならない場合

亡くなった人が、1年間(1月1日~12月31日)で10万円以上の医療費を支払った場合、医療費控除を受けられます。
控除の対象となるのは、死亡日当日までに支払った医療費で、入院費や、薬の費用に加え、入れ歯の治療費用や訪問看護などの費用も含まれます。
病院で亡くなった当日の医療費は対象外となりますが、相続の手続きの際に控除できます。

控除を受けるためには、故人が亡くなったときの納税地にある税務署へ「準確定申告を」をする必要があります。
なお、給与収入や、年金収入のほかに20万円以上の所得がある場合などは、必ず準確定申告をします。

準確定申告とは、亡くなった人の所得にかかる確定申告をすることで、原則、相続人全員の連署によって申告と納税をする必要があります。

申告と納税の起源は故人が亡くなったことを知った日の翌日から4か月以内で、例えば、故人が6月19日に亡くなったとしたら、10月19日が申告期限となります。

通常の確定申告の期限は3月15日ですが、準確定申告には影響ありません。



準確定申告の必要書類

  • 所得税の準確定申告書
  • 確定申告書付票
  • 年金や給与の源泉徴収票
  • 医療費等の領収書
※ e-taxでも提出可能です。


準確定申告が必要となる主な7つのケース

  • 給与や年金収入のほかに20万円以上の所得がある
  • 2か所以上から給与を受け取っている
  • 公的年金等の収入が400万円を超えている
  • 土地や建物を売却した
  • 保険金等を受け取った
  • 事業を営んでいた
  • 不動産を運用していた


故人が生命保険に加入していたら行うべきこと

死亡保険金の受取を行う故人が生命保険に加入していたら、死亡保険金受取の手続きを行います。
被保険者が亡くなったら、受取人に指定されている人が保険会社に連絡を入れ、後日送られてくる「死亡保険金請求書」に必要事項を記入し、被保険者の住民票や受取人の戸籍謄本、死亡診断書を保険会社に送ります。

書類提出後、保険会社で支払いの可否が審査され、決済されたら、死亡保険金を受け取ることができます。
支払可否の審査から保険金を受け取るまでの期間は各社によって異なりますが、おおよその目安は保険会社に書類が届いてから5営業日程度です。
書類に不備がある場合や告示義務などについての確認が必要な場合は45日以内が支払期限となり、受取までに時間がかかってしまうので、不備のない書類を提出する必要があります。

死亡保険金の受け取り手続きができるのは、受取人に指定された人のみですが、受取人が相続人とだけ指定されている場合や、受取人が2人以上いる場合、受取人に指定されていた人が先に亡くなった場合などには、「代表選任届」など別途書類が必要なケースもあるので、加入している保険会社に確認を取る必要があります。
なお、生命保険の保険金請求ができるのは、原則として被保険者の死後3年以内です。



遺族年金を受け取る方法

世帯の生計を維持していた人が亡くなった場合、遺族は経済的に大きな負荷がかかるため、「遺族年金」を受給できる場合があります。
遺族年金の対象者は、故人によって生計を維持されていて、前年の年収が850万円未満、あるいは、およそ5年以内に退職などによって年収が850万円未満になる遺族です。
遺族年金には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があり、故人が国民年金だけに加入していた場合は、遺族基礎年金のみの受給、故人が国民年金と厚生年金に加入していた場合は遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受給できる可能性があります。

遺族基礎年金を受給できるのは、18歳到達年度の末日を経過していない子、あるいはその子を持つ個人の配偶者です。年間支給額は基本額が約78万円、そこに、子どもの数によって加算額が加わります。
遺族厚生年金は、妻や子、孫、55歳以上の夫、父母、祖父母と受給対象が多くなっています。ただし、子がいない妻が夫の死亡時に30歳未満だった場合は5年間しか受給できません。
遺族厚生年金の受給額は故人が受け取るはずだった報酬比例部分に4分の3をかけた金額が基準となります。
申請に必要な「年印請求書」の入手先と提出先は、年金事務所で、戸籍謄本や死亡診断書が必要となります。



遺言書がない場合は遺産分割協議書を作る

遺言書がなかった場合、話し合いの結果を証明するために遺産分割協議書を作成することとなりますが、それを「遺産分割協議」といいます。
そこでは、被相続人の残した財産の内容と、相続権のある人が確定したあと、誰がどの程度遺産を相続するかなど協議します。
この話し合いは、相続人全員で行う必要があります。

しかし、未成年者や認知症の人も相続人であっても協議には参加しなければなりません。その場合は、代理人や後見人が遺産分割協議に参加することができます。また、行方知れずの親戚が見つからない場合は、不在者財産管理人や、親権者、特別代理人が本人の代わりに参加することができます。

遺産分割協議で決定した内容は、遺産分割協議書」という書面にまとめていきます。
この書類の作成は、必須ではありませんが、不動産の相続登記や、預貯金、有価証券の名義変更など、その後の相続手続きにも使用できる書類なので、作成しておくとよいでしょう。相続人の誰かがあとで相続内容について文句を言ってくるなどのトラブルを防ぐためにも、遺産分割協議書は有効です。

遺産分割協議書は、パソコンでも手書きでも構いません。
ただし、誰が何を、どのような比率で相続するかは明記しなければなりません。
たとえば、預貯金を相続する場合は、預金種目や口座番号まで記載します。
なお、作成した協議書は相続人全員が、一通ずつ原本を保管しなければなりません。
遺産文革協議書が2枚以上になる場合は、用紙と用紙のあいだに契印が必要となります。

作成時の4つのルールまとめ

  • 被相続人の死亡日を明記する
  • 相続人全員の実印が必要
  • 誰が何を相続するかを明記する
  • 相続人数分の協議書を作成する


正しく納税するために相続税を計算しましょう

相続税は、相続財産額から借金などのマイナスの財産及び葬儀費用などを差し引いて算出した課税遺産総額から、さらに控除額を差し引いた金額に対し、10~55%の税率をかけて計算します。
相続税には基礎控除という制度があり、これにより一定額は必ず控除される仕組みになっています。
基礎控除額は
「3000万円+法定相続人の人数×600万円」で計算します。
また、基礎控除に加え、相続人によっては税額控除制度をさらに利用できます。
被相続人の配偶者が使えるのが「配偶者の税額軽減」という制度です。
これにより、配偶者が取得した相続財産の額が1億6000万円未満、もしくは法定相続分の金額未満のうちどちらか大きい金額が控除されます。
また、相続人が未成年者、あるいは85歳未満の障がい者が利用できるのが、「未成年者控除」と「障がい者控除」です。
未成年控除では、満20歳になるまでの年数に対し1年につき10万円が控除されるので、相続人が15歳の場合(20歳―15歳)×10万円=50万円が控除されます。
障がい者控除では、満85歳になるまでの年数に対し、1年につき10万円が控除されるので、相続人が50歳の場合、(85歳―50歳)×10万円=350万円が控除されます。

相続税や、準確定申告につきましては、提携先の税理士と打ち合わせとなりますが、詳しくはお問い合わせください。


相続税が発生しない人も申告しなければならない

相続税が確定したら、「相続税の申告書」を作成して、故人の住所地を管轄する税務署に提出する必要があります。
原則として、相続税を納税しない人には申告義務は発生しないのですが、配偶者控除や小規模宅地等の特例の制度を利用した結果相続税額が0円になった場合は、納税はしなくても申告の義務はあるので注意が必要です。
申告書は、申告義務のある相続人全員でひとつの書類を作成し、全員分の戸籍謄本も併せて提出します。

相続税や、準確定申告につきましては、提携先の税理士と打ち合わせとなりますが、詳しくはお問い合わせください。







下記のような場合には行政書士をご利用ください。

  • 自分亡き後の財産の処分に思うところがある。
  • 外出などできない状況にある。
  • 相続が発生したが、何から手を付けていいか分からない。
  • 自分でやるのは正直面倒なので、この際専門家に任せたい。
  • 自分でやるつもりでいるが、思うように進まない。
  • 相続人の足並みが揃わないので、公平な第三者に仕切ってもらいたい。


業務のお申し込みはこちらから

書類作成、申請のお申し込み

相続手続きの書類作成などの行政書士業務を承っております。
御見積りも無料とおりますのでお気軽にお申込みください。



ご相談の申し込みはこちらから

行政書士へ書類作成、申請のお申し込み

行政書士への書類作成に関するご相談を承っております。
お気軽にご相談ください。



業務対応地域

  • 書類作成・手続きなどの行政書士業務は、札幌市内、近郊のお客様に対応しております。訪問してのご相談も無料です。

行政書士への相談

コメントは受け付けていません。

サブコンテンツ

このページの先頭へ